▼目次
1. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」とは?
2. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」のメリット
3. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」のリスク・注意点
4. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」の治療精度を高めるポイント
むし歯が進行して歯の神経(歯髄)まで到達しても、可能な範囲で歯髄を残す「歯髄保存療法」という治療法があります。
神経と血管からなる歯髄は歯の中央にあり、歯に栄養を送ることと痛みを感じるという重要な役割を果たしています。
今回は、歯髄保存療法の概要、そのメリットとリスク・注意点、治療を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
1. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」とは?
歯髄保存療法とは、進行したむし歯に対して、できるだけ歯の神経(歯髄)を保存することを目的とした根管治療の一種です。
一般的な根管治療では、むし歯が神経に達した場合、感染した神経および歯の部分をすべて取り除き、歯髄を無菌状態にすることを重視しますが、歯髄保存療法はできるだけ神経を温存する治療法です。
この治療法は、感染が軽度であり、歯髄の一部がまだ健康である場合に限り適用されます。
具体的には、感染部分のみを除去して消毒し、薬剤で封鎖することで、歯髄を引き続き生かしたままの状態にする方法です。歯髄が健康である限り、歯の成長や修復力が保たれるため、歯の長期的な健康維持に役立つとされています。
2. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」のメリット
歯髄保存療法には、見た目や機能、さらには歯の長期的な健康を保つための多くのメリットがあります。
①歯の寿命を延ばす
歯は歯の内部にある歯髄で栄養や水分を供給されています。歯髄は歯を丈夫に保つ役割を担っており、歯は生きている組織です。
歯髄を残すことで、歯の弾力性や強度が保たれるため、歯全体の寿命を延ばすことが期待できます。特に歯が欠けたり割れたりするリスクが軽減される点で、患者さんにとって大きなメリットです。
➁自然な感覚を維持
歯髄を保存することで、冷たいものや熱いものに対する自然な反応を保つことができます。これは、むし歯や歯周病の早期発見にもつながり、歯の健康管理がしやすくなる大きなメリットです。
➂歯の変色を防ぐ
一般的な根管治療では歯髄を完全に取り除くため、治療後に歯が変色することがあります。一方で、歯髄保存療法では歯髄を残すことで、天然の歯の白さや透明感を保つことが期待できます。
④将来的な治療選択肢が広がる
歯髄保存療法では、歯の内部構造がより自然な状態で残るため、将来的に必要な治療が行いやすくなるというメリットがあります。例えば、再治療や修復が必要になった場合にも、歯の状態をより良好に保てる可能性があります。
3. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」のリスク・注意点
歯髄保存療法にはメリットがある一方で、リスクや注意点も存在します。神経を残すためには特別な配慮が必要であり、場合によっては再度の治療が必要になることもあります。以下に主な注意点とリスクを挙げます。
①感染が残る可能性
歯髄の一部を残すがゆえに、完全に感染組織を排除できていない可能性もあるため、治療後に再びむし歯や痛み、排膿などが発生するリスクがあります。感染が再発した場合、再治療が必要になります。
➁痛みの再発
歯髄を保存した場合、神経が再び刺激を受けて痛みを感じることがあります。この場合、追加治療や根管治療の再実施が必要になることがあります。
➂適応症例が限られる
歯髄保存療法は、歯髄の状態が良好な場合にのみ適用できるため、むし歯の進行が深刻な場合や、歯髄の感染度合いが大きい場合には歯髄保存療法が適用できません。そのため、事前の診断が非常に重要です。
④治療費が高額になる
歯髄保存療法は、一般的に保険が適用されず、自費診療となる場合が多い治療法です(永久歯の場合)。そのため、治療費が比較的高額になる可能性があります。治療を受ける前に、費用について歯科医師と十分に相談し、納得した上で進めることが重要です。
4. 神経を残す根管治療「歯髄保存療法」の治療精度を高めるポイント
歯髄保存療法を成功させるためには、治療の精度が非常に重要です。以下のポイントを押さえることで、治療の精度が向上します。
①ラバーダムの使用
治療中に唾液や細菌が根管内に入らないよう、ラバーダムと呼ばれるゴムシートを使って口内を隔離します。
➁歯科用CTとマイクロスコープの活用
歯科用CTを使用することで、歯の内部の詳細な構造を事前に把握し、マイクロスコープを見ながら根管の形状を正確に把握しつつ、感染した部分を除去します。
まとめ
歯髄保存療法は、歯の神経を残しながらむし歯を治療する治療法であり、歯の自然な機能を保つメリットが多くあります。その一方で適応できる場合は限られ、再治療の実施が必要になる可能性もあるなどのリスク・注意点もあります。治療を受ける際には、歯科医師と十分に相談し、自分に適した治療法を選ぶことが大切です。
福島市、福島駅近くの歯医者 奥州福島Premiumデンタルクリニックでは、歯髄保存療法を含む様々な治療を行っています。
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監修
奥州福島Premiumデンタルクリニック
TOKU根管治療専門室 鈴木篤太郎