▼目次
1. インプラント治療のアバットメントとは?
2. インプラント治療に使うアバットメントの種類と特徴
3. アバットメントがインプラント治療に与える影響
4. インプラント治療でアバットメントの装着で起こるトラブル
インプラント治療を検討している方の中には「アバットメント」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。アバットメントがインプラント治療においてどのような役割を果たすのか、またどのような種類があるのかを知ることは、治療の理解を深める一助となります。
今回は、アバットメントの基本的な役割や種類、治療への影響、さらに装着時の注意点について詳しく解説します。
1. インプラント治療のアバットメントとは?
アバットメントは、インプラント体(人工歯根)と人工歯(上部構造)をつなぐ役割を担っています。つまり、インプラント治療において土台と歯をつなぐ重要な部分です。
アバットメントの役割
➀インプラント体と人工歯をしっかり固定し、噛む力を均等に伝える。
➁周囲組織と調和し、自然な見た目を提供。
➂上部構造を維持し、安定性を保つ。
アバットメントはインプラント治療の完成度を大きく左右するため、患者さんごとに適切な選択が求められます。
2. インプラント治療に使うアバットメントの種類と特徴
以下では、アバットメントを材質と製作方法の観点から詳しく解説します。
➀材質による分類
アバットメントに使用される材質にはいくつかの種類があります。それぞれの特性を活かし、患者さんの口腔環境や審美的な要求に応じて選ばれます。
・チタン製アバットメント
チタンは軽量で非常に強度が高い金属であり、長期的な耐久性にも優れています。
また生体親和性が高く、骨や歯茎になじみやすい特徴があります。特に、奥歯など噛む力が強くかかる部分に適しています。
・ジルコニア製アバットメント
ジルコニアは、白色のセラミック素材で見た目が自然歯に近いですが、チタンに比べて強度が劣りますし、費用はチタンよりも高くなります。
特に前歯に使われることが多いです。
➁製作方法による分類
アバットメントは、その製作方法によって既製品とオーダーメイド(カスタム)に分かれます。どちらが適しているかは、治療の状況や患者さんの要望によって異なります。
・既製アバットメント
既製アバットメントは、一般的な口腔形状を想定して工場で大量生産された製品です。適合性が高く、コストを抑えられるメリットがありますが、患者さんの口腔環境に完全にフィットしない場合もあります。
・カスタムアバットメント
カスタムアバットメントは、患者さん一人ひとりの口腔形状に合わせてオーダーメイドで製作されるアバットメントです。専用の設計と技術を用いるため、適合性が高く、快適な使用感が得られます。
3. アバットメントがインプラント治療に与える影響
アバットメントの選択は、治療結果やインプラントの長期的な成功に大きく影響します。その具体的な要素について詳しく解説します。
➀見た目への影響
アバットメントの材質や形状により、人工歯の見た目に違いが生じます。
ジルコニア製のアバットメントは自然な歯の色に近いため、前歯のインプラントに最適ですが、チタン製のアバットメントは見た目よりも強度を重視した治療に向いています。
➁噛む力への対応
適切なアバットメントを選ぶことで、噛む力を均等に伝わるようにすることに繋がります。不適切なアバットメントであった場合、インプラント体の破損や歯周組織への負担を増加させる恐れがあります。
➂長期的な安定性
アバットメントの素材や精度が、インプラント治療の長期的な安定性に影響します。
チタンは耐久性が高く、長期的な使用に適しています。
ジルコニアは審美性に優れていますが、強い力がかかると破損のリスクがあるため注意が必要です。
アバットメントの選択が患者さんの生活の質に大きく影響するため、歯科医師との十分な相談が重要です。
4. インプラント治療でアバットメントの装着で起こるトラブル
アバットメントの装着時に起こりうるトラブルとその対策について知ることで、事前の準備や適切な対応が可能になるでしょう。
➀アバットメントのゆるみ
アバットメントの固定が不十分な場合や、装着後に強い噛み合わせの力がかかった場合、アバットメントがゆるむことがあります。ゆるんだ状態を放置すると、人工歯の脱落やインプラント体への負担増加を招きます。
➁周囲の歯茎への影響
アバットメントの形状や位置が適切でない場合、周囲の歯茎に炎症や腫れを引き起こすことがあります。また、歯茎がアバットメントに接触しすぎると、清掃が難しくなり、歯周病の原因になる可能性があります。
➂感染や炎症
アバットメントの装着部周辺は、口腔内で最も汚れが溜まりやすい部分の一つです。装着部分の清掃が不十分だと、感染症や炎症が起きるリスクがあります。
➃破損やひび割れ
アバットメントにかかる力が設計上の許容範囲を超えると、材質によっては破損やひび割れが発生します。特にジルコニア製アバットメントでは、強い噛み合わせが長期間続くと破損の可能性があります。
➄噛み合わせの不調
アバットメントと人工歯の接続が不十分だと、噛み合わせが悪くなることがあります。この状態が続くと、噛む際の不快感や顎関節への負担が増大する可能性があります。
アバットメントはインプラント治療において欠かせない部品であり、その役割や種類、治療結果への影響を正しく理解することが重要です。材質や形状の違いが治療結果や見た目、さらには長期的な安定性に大きく影響を及ぼします。トラブルを未然に防ぐためには、事前の計画や歯科医師との密なコミュニケーションが欠かせません。
奥州福島Premiumデンタルクリニックでは、患者さんに合わせた丁寧な対応を心がけております。
福島市、福島駅周辺でインプラント治療に関するご相談がございましたら、お問い合わせください。
監修
院長・審美歯科担当 山田 恵理