▼目次
1. 根管治療におけるラバーダムとは?その役割と防湿の重要性
2. 根管治療ラバーダムの使用手順
3.根管治療でラバーダムを使用するメリットと注意点
4.根管治療における日本のラバーダムの使用について
根管治療は、歯の内部にある根管を清掃・消毒し、再感染を防ぐために行われる治療法です。根管治療を成功させるには、治療中に患部を清潔に保つことが欠かせません。ここで重要な役割を果たすのが「ラバーダム」です。
今回は、ラバーダムの役割や使用手順、メリット、そして日本での普及状況について詳しく解説します。
1. 根管治療におけるラバーダムとは?その役割と防湿の重要性
ラバーダムとは、ゴム製のシートで、治療する歯を口腔内から隔離するために使用します。
ゴム製のシートとそれを固定する金属部品(クランプ)、シートを広げる役割を果たすフレーム、この3つを組み合わせて使用します。このシートを治療する歯に装着することで、唾液や細菌の侵入を防ぐ役割を果たします。
根管治療においては「唾液や細菌の侵入を防ぐ」ことが重要です。これを防湿といいます。
根管治療の目的は、感染した歯髄(神経)や根管内の感染組織を取り除き、再感染を防ぐことです。しかし、口腔内には多くの細菌が存在しており、唾液や口腔内の環境が根管内に入り込むことで、根管治療の成功率が低下するリスクがあります。
根管治療を成功させるためには治療する根管を無菌的な処置をする必要があり、そのためにはラバーダムで防湿を徹底する必要があります。
2. 根管治療ラバーダムの使用手順
ラバーダムは、以下の手順で装着されます。
①準備
患者さんの口腔内を確認し、治療する歯の位置を決定します。ラバーダムシートに治療する歯の位置を記載し、穴を開けます。
➁装着
開けた穴を治療する歯に合わせ、ラバーダムを装着します。必要に応じて歯を固定するためのラバーダムクランプを使用し、シートがしっかりと固定されるよう調整します。
➂固定
シートが歯の根元に密着するよう調整して、唾液や細菌が根管に侵入しない状態を作ります。
④治療開始
ラバーダムが適切に装着されていることを確認後、根管治療を開始します。治療中もシートがずれないように注意を払いながら治療が進行します。
3.根管治療でラバーダムを使用するメリットと注意点
ラバーダムの使用にはいくつかのメリットがありますが、リスク・注意点もあります。以下に主なメリットとリスク・注意点について説明します。
<ラバーダム使用のメリット>
①唾液中の細菌の侵入を防ぐ
唾液には多くの細菌が含まれています。これが治療中に根管内に入ると、感染のリスクが高まります。
ラバーダムは治療部位を唾液から隔離することで、細菌の侵入を防ぐことに繋がります。
➁薬剤の効果を最大化する
根管治療では、細菌を殺菌するための強力な薬剤を使用します。唾液が混入すると薬剤が薄まり、その効果が減少する可能性があります。
ラバーダムを使用することで、薬剤の濃度を保ち、治療効果を最大限に引き出すことができます。
➂医療事故を防ぐ
治療中に使用する器具が口腔内・咽頭に落ちると、誤飲や窒息のリスクが生じます。ラバーダムはこれを防ぎ、患者さんの安全性を高めます。
<ラバーダム使用のリスク・注意点>
➀装着による不快感
ラバーダムが口腔内にあることによる不快感を感じる可能性があります。
➁唾液の侵入
装着ミスや適切な固定がされていなかった場合、唾液の侵入やシートのズレが発生する可能性があります。
4.根管治療における日本のラバーダムの使用について
根管治療においてラバーダムの使用には多くのメリットがありますが、日本でのラバーダムの使用率は欧米諸国に比べると低いとされています。
普及が進まないことには以下のような要因が考えられます。
①コストの問題
ラバーダムの使用には技術習得が必要であり、ラバーダムシート自体にコストがかかります。しかし、日本の保険制度において、ラバーダムは保険点数が算定されません。
そのため、ラバーダムの使用が歯科医院にとって負担となる可能性が考えられます。
➁時間的コスト
ラバーダムの装着自体に時間がかかり、診療時間に影響するため、使用を避けられている可能性が考えられます。
➂患者さんの抵抗感
ラバーダムが口腔内での違和感を与えるため、患者さんが不快感を感じる場合を考えて使用を避けられている可能性が考えられます。
まとめ
ラバーダムは、根管治療の成功率を高めるために重要な役割を担っており、患部を防湿することで感染リスクの低減に繋がる可能性があります。一方で、日本ではその使用率はまだ低く、保険診療の対象外となっています。
奥州福島Premiumデンタルクリニックでは、患者さん一人ひとりに合った丁寧な治療を心がけています。
また、保険診療の根管治療の他、ラバーダムを使用する精密根管治療も行っています。福島市、福島駅周辺で根管治療についてご不安や疑問があれば、奥州福島Premiumデンタルクリニックまでご相談ください。
監修
奥州福島Premiumデンタルクリニック
TOKU根管治療専門室 鈴木篤太郎